FC2ブログ

大樹の下で

神話・古史・古伝・民間伝承に関わる、自由な空想を不定期に更新しています。

2018-11

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:--:--

次記事へ移動する «  | HOME |   | ENTRANCE |  » 前記事へ移動する

ハロウィン幻想~古代ケルトの森から

私は今、古い思い出の場所に佇んでいる。
まだ私が幼かった頃、この森と湖は人里から離れた場所だった。
近頃は、開発が進み、このあたりにもずいぶんと住宅が増えたようだ。
遠くに車のクラクションが響いて消えた。
それでも、この場所は変わらぬ静寂の中、
わずかな木々のざわめきと、月の光を反射する水面だけが、
あの時と変わらぬ姿を見せている。

もう何十年も前のこの日。
私が、10歳の頃の10月31日のこの場所。
幼い私は、おばあさまから聞かされた昔語りを胸に、
月明かりの中、半ば、彷徨うように、
この場所に辿り着いた。

森から湖を見下ろす高台にある古い古い石碑の前。
風化した石の表面にはうっすらと文字のようなものが刻まれている。
その文字が、不思議な力を持つと言われる
ルーンであると言うことが解るのは、ずっとずっと後のことだ。

その日、私は他にすがるモノもなく、
亡くなる前におばあさまが教えてくれた
イエス様とは違う、古い古い神様に
一縷の望みを託すため
失われた道を辿り、この石碑の前に辿り着いた。

「・・・いいかい、かわいい坊や。」
「もしも、何か願い事があって、イエス様にお願いしても
聞き届けてくださらないようなときは
この土地の古い古い神様に願い事をするんだよ。」
「少し離れた森の奥、湖が見下ろせる場所に古い石がある。」
「神様は、ずっとずっと眠っておいでだから、
月の光をたよりに、夜に行かなければならないけど」
「お前が、イエス様でもダメだと思うようなときは
そこに行って願い事をするんだよ」
おばあさまから教えてもらったこの話を胸に
幼い私は、ある願い事を持ってこの場所を訪れた。
疲れ切って、息も絶え絶えではあったけれど
私にはこうするしか方法がなかったのだ。
母が重い病にかかって半月たっても治らなかった。
その当時のはやり病で多くの人が亡くなっていた。

「神様!古い古い神様!」
「どうか私の願いを聞いてください!」
「母様を、母様を助けてください!」

そう何度もお願いして、疲れきっていた私は
そのまま倒れるように眠ってしまったのだろう。
そして、夢の中で私は同じように神様にすがる少女を見た。

「神様!お願いです!」
「おじいさまを助けて!村のみんなを助けてください!」

その言葉と入れ替わりに、
大きな地響きとともに馬の鳴き声や車輪の回る音、
そして、人の叫び声がこだました。

騒ぎの方へと目を移すと
そこには大きな炎の祭壇と、その周りを逃げ回る人達
炎に照らし出された無慈悲な戦士達がいた。

人々を先導していた一人の老人が追われる村人をかばって
今にも切られる所だった。

「おじいさま!!」

少女の叫びが響いた。

切り伏せられた老人は、彼女の方へ目をやると
最後の力を振り絞り再び立ち上がると、
一瞬微笑み、すぐ瞳を閉じて、何事かつぶやいた。

刹那、祭壇の炎がさかまき、風がうねりをあげた。
炎と風は戦士達に襲いかかり、
その一部を焼き尽くし、吹き飛ばした。
動揺した戦士達は、何事か叫び、
その場から慌てたように退却していった。

その後、少女は湖を見下ろす高台に立っていた。
彼女の周りには、沢山の淡い光が飛んでいるようだった。
そして彼女は何かに頷くと、こう言った。
「私は、ニミュエ・・・」

そこで、目を覚ました私は、
目の前に一人の美しい女性が立っていることに気づいた。
呆然とする私に微笑みながら彼女は尋ねた。

「あなた、名前は?」

とまどいながらも私は答えた。

「アーサー・・・」

彼女は一瞬驚いたような顔をして再び微笑んだ。

「そう、良い名前ね・・・」
「アーサー、良くお聞きなさい」
「あなたの母様を助けたいのなら、勇気をお見せなさい」

「勇気・・・」

「そうです。今から母様の元にすぐ戻り、そこで何があろうとも
逃げてはなりません。」
「あなたが、逃げなければ母様は助かります。」
「私からほんの小さな贈り物をあげましょう。」

そう言うと彼女は、私に拾い上げた木の棒を手渡した。

「さぁ、お行きなさい」

私はと言えば聞きたいことが沢山あふれて声にならなかった。
そして、何か言おうとすると、彼女は微笑んだまま
指を立て、唇に押し当てた。

「さぁ、お行きなさい、急ぐのです」

後ろ髪を引かれながらも私はその場を後にした。

来るときはあれほど彷徨うようだった足取りが嘘のように
森を抜ける道はまっすぐに家へと続いていた。

私の家の灯りが見えてくると
見慣れぬモノが、玄関の前にあることが見て取れた。
近づいて行く内に、それが地面から伸びる無数の腕だとわかった。
無数の腕は伸びて、玄関を突き抜け家の中に入っていく。

私はその異様さと禍々しさにひるんだ。
恐怖が私を縛り付け、足は根を張ってしまったように
動かなかった。

やがて、家の中に入った腕が
何かを掴んで、玄関の外へ運びだそうとしていた。
それは、まぎれもなく母様その人ではないか!

その時、頭の中にあの美しい声が響いた。

『勇気を・・・』

私は、弾かれたように
贈られた木の棒を突き出して突進した。
無数の腕が私の方へも伸び、
私に掴みかかってくる。

私は、棒を夢中で振り回した。
すると、ただの木の棒だったそれは
いつしか、輝きを放つ剣となっていた。

輝きに触れた腕は次々と消滅し、
ただ一人私が立ちつくすだけとなった。
持っていたその輝く剣は私の手のひらに吸い込まれるように消えてしまった。

---------------------------------------

その後、もちろん母は持ち直し助かった。
だが、その日の奇跡を私はここ何十年も思い出すことがなかった。
ただ、この場所だけはいつも気になっていた。
しかし、先日の夜、彼女が夢に現れたのだ。

その時、私の人生が残りわずかだと言うことに気がついた。
不思議と恐れは感じなかった。
平凡だが、多くの愛する者に恵まれた人生だった。
だが、いつも何かを忘れているような気がしていたのだ。

そして、私は今ここにいる。

あの日、贈られた木の棒を返す為に

私の手のひらに消えたあの輝く剣を返す為に

私はあたかも手の中に何か持っていたかのように
そして、それを放り投げるように
手を下から上にわずかに動かした。

輝きが弧を描き、湖面に吸い込まれていった。

今日はハロウィンの夜。
古くはサウィンと呼ばれた古い古いお祭りの夜だ。

~終わり~


というわけで、いかがでしたでしょうか?
つたない文章力で申し訳ないですが、
少しでもお楽しみいただければ幸いです(笑)。
スポンサーサイト

FC2 Blog Ranking 人気blogランキングへ ブログランキングくつろぐ にほんブログ村 歴史ブログ 神話・伝説へ

テーマ:自作小説(ファンタジー) - ジャンル:小説・文学

2007-10-31 23:36:41

次記事へ移動する «  | HOME |   | ENTRANCE |  » 前記事へ移動する

コメント

おそまつさまでございます(笑)

凶樹さん、いらっしゃいませ!(笑)

ちとアップするのが遅れましたが、
なんとか31日のうちにあげられました(苦笑)。
パッと読んだ限りでは、何の話だこれって感じに敢えてしてみました。

あからさまなキーワードと、
神話やその手関連の昔語りが好きな方であれば
おっ!っと気づくようなキーワードを散りばめながら、
慌ただしく書き上げたので、
こんなものだろうと思っています。
(正味2時間くらい)

凶樹さんも、敢えてネタバレしそうなキーワードを省きながらコメントいただき、
(恐らく色々気づいていらっしゃるでしょうね)
ご配慮ありがとうございます(笑)。

解らない事を解らないと書いてくださる方がいれば
一つ一つ、お答えしたいと思っています。

凶樹さんも、某所にてチャレンジしてみては?

ふところのふかさ

正直に述べます。

ケータイ片手に
友達の部屋にも
関わらず
(今日は友達のアシなので準備ができるまで暇)

あっ?

あっ!

あぁっ!?

あぁぁーっ!!


喜び悔しく
叫んでおりました

いつか
やってみたいネタだけに
意欲?触発?霊感?


視えました
確かに

しかと刻む風ゆえ


すいません。
大袈裟(笑)

m(_ _)m

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://taijyunoshitade.blog118.fc2.com/tb.php/18-417280f4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

RSS表示パーツ

ブログメニュー 

translate this blog into

サイト内全記事表示

過去の全記事一覧を表示

サイト内キーワード検索

アンケート実施中!

好きな神話のアンケート実施中です!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

リンク

  • 趣味占放談
  • 光のシェラザード
  • 縄文と古代文明を探求しよう!
  • トーキング・マイノリティ
  • 民族学伝承ひろいあげ辞典
  • 管理者ページ

このブログをリンクに追加する

ブックマーク

プロフィール

かし りょう

Author:かし りょう
神話・古代史に思いを馳せる。
と言うと格好良いですが、実際は、
”空想にはお金がかからない”
という事で。。。
つたない知識のオンパレード。


大樹の下で<別館>
~ネタほん図書館~


くつろぐマイプロフィール

にほんブログ村 トラコミュ 昔話、伝承、神話へ
昔話、伝承、神話
にほんブログ村 トラコミュ 歴史好き (ジャンル不問)へ
歴史好き (ジャンル不問)

月別アーカイブ

日本神話関連書籍

ギリシャ・ローマ神話関連書籍

中近東神話関連書籍

インド神話関連書籍

中国・朝鮮神話関連書籍

ケルト・北欧神話関連書籍

中南米神話関連書籍

アフリカ神話関連書籍

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。