FC2ブログ

大樹の下で

神話・古史・古伝・民間伝承に関わる、自由な空想を不定期に更新しています。

2018-11

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
-------- --:--:--

次記事へ移動する «  | HOME |   | ENTRANCE |  » 前記事へ移動する

龍と蛇(1)~きっかけと竜

世界の神話の多くに登場する””という架空の動物。
また、同じく””という実在の動物。
このサイトを開設するまで、私は、神話における””と””を
おおよそ同様のモチーフと捉えていた。

しかし、どうやらそうでもないようだ。

以下に紹介する長江文明の著作を読み終えて、
改めて、””と””について考えてみようと思った。

古代日本のルーツ 長江文明の謎 (プレイブックス・インテリジェンス)古代日本のルーツ 長江文明の謎 (プレイブックス・インテリジェンス)
安田 喜憲

青春出版社 2003-06
売り上げランキング : 72677
おすすめ平均

Amazonで詳しく見る
by G-Tools

まず、何故この本がきっかけとなったのかを簡単に説明。

この本は長江中・下流域における古代文明について書かれた著作である。
長江文明”と名付けられたこの古代文明は
稲作と漁(りょう)を中心とした森の中に生れた文明である。
これまで、古代文明発祥地はいずれも
”と””を主食とする民族により起こったとされる。
古い順に、メソポタミア文明エジプト文明インダス文明黄河文明である。
これらは、比較的簡単な畑作と牧畜(遊牧)により
食料を確保していた文明であり、気候帯は乾燥地域であったという。
つまり、森のない地域にある文明なのだ。

この”森のある文明”と”森のない文明”とを対比するひとつの考えが
神話の中心となる動物の対比であり、
(森あり)と(森なし)として現されている。
もっとも、この対比は主に長江文明黄河文明の対比となるのだが
著作を読んでいると、は別物なのか?
という漠然とした疑問が浮かび上がってきたのだ。
まず、””である。
この架空の動物はバリエーションも多いし、解釈も様々だ。
日本語の””には、”西洋の竜”と”東洋の龍”という文字の使い分けが
暗黙の了解になっているふしがある。
だが、字形としては、漢字のよりも古いそうだ。
そうであれば、”西洋の龍”、”東洋の竜”という使い分けの方が正しいのかもしれない。
個人的には、やはり前者のイメージの方が強いのだが(苦笑)

そもそも、この””という存在は
キメラ(キマイラ)、つまり合成獣である。
中国に端を発する””は、「竜に九似あり」とされ、
角>鹿、
頭>駱駝(らくだ)、
眼>鬼(き:幽霊・死者の意)あるいは兎、
体>大蛇、
腹>蜃(しん:巨大蛤<はまぐり>の事なのだが、ここでは*蛟<みずち>)、
背中の鱗(うろこ)>鯉(こい)、
爪>鷹、
掌>虎、
耳>牛

*の蛟<みずち>は、別の伝えで竜の幼体のひとつなので、ちと意味がわからない。
中国の神話・伝説を記した『述異記』には
「水にすむ虺(き)は五百年で蛟となり、蛟は千年で龍となり、
龍は五百年で角龍、千年で応龍となる」とある。
また、日本においては、鯉(こい)が年を経て
長大な滝を登ると竜に変ずるという考えもある。
この考えが、五月の節句における鯉のぼりになるのだ。

中国以外のもっとも古い竜は、
メソポタミア地域の”ムシュフシュ”。
時代によって伝わる細かな形状が変化してしまうが、
おおよそ、大型の四つ足の獣(獅子)と蛇をベースに
角や鷹の翼・爪が付属されていく。
この”ムシュフシュ”は聖獣であり、時代時代の最高神の随獣である。
逆に言えば、”ムシュフシュ”が主(あるじ)と認めた神が最高神なのだ。
この考え方は中国の皇帝と竜の関係に似ている。
中国の皇帝の象徴として竜は捉えられており、
長く、その図象を描いたり、使用する事には制限があった。
特に、五本爪の竜は皇帝しか使う事ができなかった。
(日本では多くが三本爪、中国の一般では四本爪)
(爪の数は、知性・理性の高さに比例し、五本が完全で、少なくなるほど危険な獣となる)

いわゆる、西洋の竜というのは
一神教成立後において神の敵対者の代名詞となっている。
現在”西洋の竜”の代名詞は”ドラゴン(Dragon)”だが、
これは”大型爬虫類”あるいは”恐竜”の姿と思われる。
この姿は神話時代というより、中世以降に用いられたモノなので
幻想小説や昔語りなどの題材として、その姿が固定化されたものであり、
神話との関連性ははなはだ乏しい。

それ以前の神話における””はというと、
合成獣としての、ヘビとの類似の域を出ないようで
”とは言われず、””のままである。
ギリシャ・ローマ神話の複数頭の蛇”ヒドラ(ヒュドラ)”。
北欧神話の”ウロボロス”、”ミズガルズ”。
などが、代表格だろうか。

合成獣の事をキメラ(キマイラ)と言うが
これはギリシャ神話に端を発するモンスターで
その特徴は、前述の”ムシュフシュ”に近い。
蛇というよりは、四つ足の獣である。(尻尾が蛇)
不思議な事だが、形状的に近いのは、古い時代の”ムシュフシュ”の方である。

”をどのように定義するかにもよるが、
蛇のような体、あるいは蛇との合成モンスターと定義してしまうと、
ゴーゴンメデューサ等も””になってしまう。
(ギリシャ神話における蛇人間、髪の毛が無数の蛇、
加えて下半身も蛇とされる場合もある)

このように考えると、厳密には西洋に”竜”はいないとも言える。

定義を大きな蛇、しかも神に匹敵する力を持ち、創造などに関わるとするなら
その限りではないのだが、姿はやはり””なのだから
動物として分類するなら、””ではなく””だと言える。

中国・日本における”竜神”は、
いずれも””に関わりを持ち、
”を飛行するのであるから、
大河”や”竜巻”の神格化とも想像できるが
日本・インドとなると”海神”とも捉えられ
全くもって縦横無尽である。
陸・海・空全てを勢力範囲とする神に匹敵する力の持ち主
おおよそ、地上全ての支配者なのが””なのである。

中国の皇帝やメソポタミアの最高神のかたわらにいるように言われるが
”竜”が主(あるじ)でその権威を借りるのが、
皇帝や神々のような気がしてくるのである。
スポンサーサイト

FC2 Blog Ranking 人気blogランキングへ ブログランキングくつろぐ にほんブログ村 歴史ブログ 神話・伝説へ

テーマ:神話 - ジャンル:学問・文化・芸術

2007-11-03 22:36:04

次記事へ移動する «  | HOME |   | ENTRANCE |  » 前記事へ移動する

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

http://taijyunoshitade.blog118.fc2.com/tb.php/20-6929f04e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad

RSS表示パーツ

ブログメニュー 

translate this blog into

サイト内全記事表示

過去の全記事一覧を表示

サイト内キーワード検索

アンケート実施中!

好きな神話のアンケート実施中です!

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

カテゴリー

リンク

  • 趣味占放談
  • 光のシェラザード
  • 縄文と古代文明を探求しよう!
  • トーキング・マイノリティ
  • 民族学伝承ひろいあげ辞典
  • 管理者ページ

このブログをリンクに追加する

ブックマーク

プロフィール

かし りょう

Author:かし りょう
神話・古代史に思いを馳せる。
と言うと格好良いですが、実際は、
”空想にはお金がかからない”
という事で。。。
つたない知識のオンパレード。


大樹の下で<別館>
~ネタほん図書館~


くつろぐマイプロフィール

にほんブログ村 トラコミュ 昔話、伝承、神話へ
昔話、伝承、神話
にほんブログ村 トラコミュ 歴史好き (ジャンル不問)へ
歴史好き (ジャンル不問)

月別アーカイブ

日本神話関連書籍

ギリシャ・ローマ神話関連書籍

中近東神話関連書籍

インド神話関連書籍

中国・朝鮮神話関連書籍

ケルト・北欧神話関連書籍

中南米神話関連書籍

アフリカ神話関連書籍

RSSフィード

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

 

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。