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大樹の下で

神話・古史・古伝・民間伝承に関わる、自由な空想を不定期に更新しています。

2018-11

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オーディンの愛馬スレイプニルの正体は?!

今回も前回に引き続き、北欧神話からテーマを取ってみた。
北欧神話の主神オーディン(Odin)の所有物のひとつに
スレイプニル(Sleipnir)という馬がいる。
この馬であるが、普通の馬ではない。
前足4本、後足4本の8本足。
あるいは、足の蹄(ひづめ)が2つづつ、合計8つの蹄を持つとされる。
こんな馬は、もちろん存在しない。

このスレイプニルは、スヴァジルファリ(Svaðilfari)という
山の巨人の所有物である魔法の馬と
雌馬に化けたロキ(Loki)の間に生れたとされ、
ロキによりオーディンに献上されたものである。
この神話は以下のような経緯がある。

ある時、巨人族の神々とオーディン達神々の戦いにより、
オーディン達の国を守る城壁が破壊されてしまった。
戦が一段落した時、神々は城壁の修理を嫌がった。
そこへ、石工に化けた山の巨人が現れ、
城壁を修理してあげる報酬として
月と太陽の譲渡と
フレイヤ(神々一の美女と思って欲しい)との結婚を要求した。
神々はこの提案に激怒するが、ロキの進言により、
たった一人で限られた期限のうちに、
仕事をやり遂げる事ができるなら、その提案をのむ事にする。
当然、その期限は到底守れるようなものではないわけだが、
巨人は自分の持つ馬1頭だけは使う事を許して欲しいと条件の緩和を申し出た。
たかが馬1頭使ったぐらいで、為せると思わないオーディン達は
その提案を受け入れてしまう。
ところが、その馬が魔法の馬で、次々と大石を運んでは
城壁として積み上げていってしまう。
これに、動揺したオーディン達は、その責任を進言したロキに償うよう要求する。
そこで、ロキは雌馬に化けて魔法の馬スヴァジルファリを誘惑、
連れ去ってしまうのである。

下はノルウェーのオスロ庁舎にある彫刻で
「気ままな旅人(Glove Walker)」というサイトに紹介されていました。
(サイト名クリックでトップページ、画像クリックで画像紹介ページへリンクしています。)
この彫刻の他にも、北欧神話を題材とした神々の彫刻が紹介されています。
スレイプニルに乗るオーディン

さて、このスレイプニルの正体とは何か?
私自身、これまでこの8本足の怪馬であるスレイプニルは、
並の馬の2倍の早さで走る”といったような意味合いを含んだ
一種の揶揄表現であり、
卓越した優秀な馬ぐらいに考えていた。

スレイプニルという言葉の意味は
滑らかに動く”という意味であるとも、
絞首台の木”と”馬(drasil)”の両方の意味があるとも言われている。
前者の意味は、英語の slip の語源とされるもの。
後者の意味は、北欧神話の語り手達の一派である
スカルド詩人達による表現法から”死”と関連づけられたものである。

さて、珍しくここまで引っ張ってきたが(苦笑)、
私が今現在考えているスレイプニルの正体を披露しよう。

それは、ズバリ”船”だ。

えぇっ!!??って疑問符が飛び交いそうだが
順を追って説明しよう。

まず、スレイプニルの最大の特徴は、
なんと言ってもその”8本足”にある。
しかし、8本の足の馬などいるわけがない(笑)。
だが、オーディンという神の元になった実在の人物がいたと考えたとき、
その所有物の中に、8本の足を持つ何かがあったのではないのか?
では”8本の足”とはなんだろう。

ここで、前記事の
巨人考~先史バイキング型海洋民を参照してもらいたい。
北欧諸国を中心とした、ヨーロッパ北方海域に残される神話で
最も重要な乗り物は、馬よりも””なのであり、
その大元の技術(船舶の建造技術や航海術)を持っていたのは、
巨人と呼ばれた、北方海洋民達だと思う。
そして、彼らの技術を受け継ぎ有史に登場するのがバイキング達。
彼らの船は”ロングシップ”と呼ばれる複数のオールを持つ船だ。
これは、後に地中海の戦闘艦として猛威を振るう
ガレー船ガレアス船へと発展していく。

つまり、”8本の足”とは”8本の櫂(オール)”ではなかったかと言うことだ。

実は、この発想を得て、色々と調べてみると、
この考えが間違いではないという確信に変わる事象が色々出てきた。

ここで、スレイプニル誕生を思い出して欲しい。
この怪馬の生みの親は、ロキスヴァジルファリ
ロキは巨人族との混血の神であり、
スヴァジルファリは山の巨人の所有物だ。
オーディンが実在のモデルを持つならば、
当然ロキも実在したモデルがいるだろう。
ならば、ロキが雌馬に化けることなどできはしない。
では、事実はどうであったのか。
要は、山の巨人の持ち物スヴァジルファリであり、
ロキが、オーディン達神々の意を受け
同族の巨人を言葉巧みにだまし、
その見事な船を盗み出したという事ではないだろうか。
ロキというのは、非常に知恵のある神で
(大抵は悪知恵の部類として神話では描かれるのだが)
この場合、盗み出した船を改良し、
神話時代当時最高の船を建造したという事ではないだろうか。

また、オーディンが所有するものの中に、
2匹のカラスがいるのだが、
バイキングの伝説の中に、
船にカラスをかごに入れ携帯していたというものがあるのだ。
これは、陸地を見失った時に、カラスを放すことにより
本能的にカラスが陸地に向かって飛ぶからだそうだ。
オーディンカラス探索や情報収集に使われたというのだから
その利用状況は酷似している。

さらに、オーディンの持つ魔法の武器に
グングニル”という槍(やり)がある。
これも、船に関連づける事ができるのだ。
バイキング船の中には、一般に”ラム”と呼ばれる戦闘相手の船舶を破壊するための
突撃用の突起が付けられていた。
船体ごと相手の船に船首下部に取り付けられた突起をぶつけて、
相手の船舶に穴を開けて、浸水させる攻撃用の装備だ。
正に、船を柄とする強力な槍だと言える。

もうひとつ、オーディンに関連する重要なものがある。
それが、北斗七星だ。
この七つ星は、古代の航海術において重要な指針となる星のひとつだ。

これまでに挙げてきた、これらオーディンの所有物は
全て紹介したオスロ庁舎の彫刻に描かれている。

では、何故になってしまったのだろうか?

これは、この神話を継承した民族の多くが
海洋民ではなく、牧畜民あるいは農耕民だったからではないかと思う。
一般の人にとっての世界とは自分の生活範囲だけである。
日本などでもそうであるが、
交通手段や情報伝達が発達しない先史時代の定住型の内地民は
おそらく、自分たちの所有する土地から一生でることはなかっただろう。
中には海や船を見たことがないものも多かったと思われる。
そう言った人々が、8本の櫂を持つ乗り物というものを聞いた時、
櫂の意味はわからないが、
神々の王が所有する乗り物であるなら、
きっと馬に違いないと思っても不思議ではない。
牧畜民の持つ王の姿とは、船上にあるのではなく
馬上にこそふさわしかったと言うことかもしれない。

北欧神話には魔法の船も登場するのだが
オーディンの持ち物ではない。
スキーズブラズニル (Skíðblaðnir)
という帆船でフレイという神の持ち物だ。
古代ノルド語については全く知識がないので
なんとも言えないのだが、
語尾が一緒というのは気に掛かる。

スレイプニルの意味が
滑らかに動く”なのであるなら、
この形容は馬ではなく、船にこそしっくりくると思うのだが、
皆さんはどう考えるだろうか(笑)。
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テーマ:神話 - ジャンル:学問・文化・芸術

2007-12-10 21:26:14

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コメント

遅くなりました・・・

まこちょさん、いらっしゃいませ!

お返事が遅くなり申し訳ありませんでした。
このコメントが入ってすぐ、そちらのトラバ記事には目を通しました。

競馬関連からお越しとは(笑)

あまりにも秀逸な記事!!

はじめまして。
スレイプニルを検索していたら、こちらにたどり着きました。

なるほどと思わせてくれる仮説に
かなり心惹かれました。
やはり神話であっても
大本となる事実があったのではないかと思う
私としては、大いにうなずける内容はおみごととしか
言いようがないです(^^

ご連絡があとになってしまったのですが
TBさせて頂きました。
自分の記事の幼稚さが浮き立ってしまうのですが
多くの方にこのはなしを聞いてもらいたいです!!

もし、事前連絡がなく、TBを不快に思われましたら
こちらのコメントごと削除なさってください。

また、遊びに来ます!

マニアックでビックリしたのでは?(笑)

森人さん、ようこそ!

愉しんでいただけたなら良かったです。
こういった大胆な発想(妄想、爆)がこのサイトの根幹です。

実は、「ある程度神話の知識がないと読めない!」
と知人からつっこまれていまして(苦笑)。
一応、簡単に背景説明はいれているのですが
それでも解りづらい所はあるようなので
読み物としてはどうかな?
と思っていました。

森人さんは、某所にて私のログを気に入ってくださっていたので
そちらが更新できていない現状なので
こちらに招待いたしました。

書いてある記事に要求される
事前知識の必要性は、裏を返せば
ここで疑問に思った事や、興味とした方達が
そこから、新たな空想の旅の入り口としてくださればいいと考えています。

とんでもない話しばかりですが
また覗きにいらしてくださいね(笑)

大胆な仮説ですが、いちいち納得する事ばかり(笑)。
興味深く読ませていただきました。
面白かったです。

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神話・古代史に思いを馳せる。
と言うと格好良いですが、実際は、
”空想にはお金がかからない”
という事で。。。
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