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大樹の下で

神話・古史・古伝・民間伝承に関わる、自由な空想を不定期に更新しています。

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「クリスマス・キャロル」の3人の精霊は運命の神からの転用?

今夜はクリスマスイブです。このイブの日に起こる奇跡を描いた有名な作品。

チャールズ・ディケンズ( Charles Dickens )著作
「クリスマス・キャロル( A Christmas carol )」

まず、本題に移る前に、このお話を知らない方の為に
簡単なあらすじを紹介しましょう。

物語は、主人公の友人の葬式から始まります。
彼の友人が亡くなったのは12月24日、クリスマスイブの事でした。
主人公は優秀な商売人であり、その死んだ友人は共同経営者でした。
葬式の参列者はとても少なく、生前の行いがわかります。
死んだ友人も主人公も優秀な商売人ではありましたが、
何をおいても利益を最優先とする
守銭奴のような働きによるものだったからです。
何年か後の事、
同じようにクリスマスイブの日が訪れていました。
彼は、クリスマスなどと言って
浮かれている他の人達を蔑んでいました。
いい訳ををしてさぼっているくらいにしか思わなかったからです。
彼の甥がパーティに誘っても追い返します。
寄金を求める人が訪れても追い返します。
主人公は、クリスマスイブだというのに
夜12時まで働き、使用人も同様に働かせます。
彼が仕事を終え、帰宅すると、
恐ろしい事が待ち受けていました。
何年も前に死んだ友人が、幽霊となって彼を訪ねるのです。
友人は主人公に警告をしに来たのです。
このまま、クリスマスを敬うことなく過ごすなら
自分同様死んで浮かばれず彷徨うことになると。
そうならない為のチャンスが与えられると。
これから現れる3人の精霊を受け入れる事を拒否すれば、
そのチャンスは失われてしまうと。
そして、彼の元へ3人のクリスマスの精霊が現れるのです。
一人目は過去のクリスマスの精
二人目は現在のクリスマスの精
三人目は未来のクリスマスの精
果たして、主人公は何を見、聞き、悟るのでしょうか?

あらすじはここまでにして、本題に移りましょう。
問題となるのは”3人の精霊”です。
過去・現在・未来
この名前を冠する神は、北欧神話に登場します。
3人の女神で、総称ではノルン(Norn)
あるいは複数形のノルニル(Nornir)と呼ばれます。
彼女達は、運命の女神です。

北欧神話では、
その種族(アールブ<妖精>や、ドヴェルグ<地霊>アース神族
それぞれに、ノルン達がいるようですが、
最も力を持ち、原初の存在となるのが、巨人族のノルン

長女:ウルズ(ウルズル、Urðr, Urthr)(過去:短髪の女神)
次女:ヴェルザンディ (Verðandi, Verthandi)(現在:長髪の女神)
三女:スクルド (Skuld)(未来:髪を結う女神)

19世紀のデンマークの画家J.L.ルンドによる、ノルンを描いた絵画

運命を司る3人と言うモチーフは、
他の神話や宗教にも現れます。

ギリシャ神話のモイラ(Moira、μοιρα)
複数形では、モイライ(Moirai、Μοίραι)

ラケシス(Lachesis)(運命の糸を割り当てる者)、
クロートー(Clotho、Klotho)(運命の糸を紡ぐ者)、
アトロポス(Atropos)(運命の糸を断ち切る者)

ラファエル前派イギリスの画家ジョン・メリッシュ・ストラドウィックの作品

彼女達は、人の誕生の場に現れて
生まれ来る人の運命を告げる存在でもあります。
そして、人の死の場面に現れて命を刈り取る者でもあります。

私の好きなケルト神話のおいては、
モリガンがそれにあたります。

また、女性ではありませんが、
イエス・キリストの誕生を祝福した東方の3賢者もまた、
運命の神の転用と思われます。
彼らは、当初占星術師(Magi:マギ)でしたが、
次第に格付けされ、3人の王となります。
俗に言う、「三王礼拝」がそれにあたります。

メルヒオール(Melchior):欧州の若き王
カスパル(Caspar):長老格でアジアの王
バルタザール(Balthasar):黒人でアフリカの王

ルネッサンス期ネーデルランドの画家ヒエロニムス・ボスの作品の一部

このように3人ひと組のモチーフは、
ことごとく運命に関わるものである事が多く
仏像にも見られる3面もまた、
このような古い信仰表象の系譜と言えるのかも知れません。
中でも、阿修羅(アスラ)は、
大元にその運命を決定左右する神の側面があると思われます。
この阿修羅の元を辿ると、
拝火教(ゾロアスター教)やミトラス教の
アフラ・マズダーとミスラ、ヴァルナとミトラに関係が認められ、
さらに、メソポタミアのアンシャル神にまで遡ります。
これらには、三副一対の思想がないようにも思われますが、
後のローマの思想やユダヤ教には既にその思想が見受けられます。

我々が時の中に捕らわれる存在であるという認識が、
過去・現在・未来の神を生み出したのでしょうか?

ギリシャ神話には、前出した運命の女神が存在しますが
それとは他に、時間神クロノス(Χρόνος、Chronos)がいます。
あまり、正体のはっきりしない神様ですが、
時間を司るのであるならば、当然運命の女神達の上司でなければなりません。
そういった関連性はどこにも言及がないのですが・・・。

この時間神クロノスは日本語で書くと同様の
農耕神クロノス(Κρόνος、Cronus/Kronos)
同一視あるいは混同される神様で、農耕神クロノス
ギリシャ神話の兄弟神話、ローマ神話では、
農耕神サトゥルヌス(サートゥルヌス Sāturnus)にあたる神です。
不思議なことに、この農耕神サトゥルヌスを祀る冬至の祭礼
サートゥルナーリア (Sāturnālia)祭は、
現在、クリスマスの源流のひとつとされています。

クリスマス・キャロルの著者、ディケンズは、
3人のクリスマスの精霊という運命を司る精霊を登場させました。
それは、古い古い神々の思惑に左右された結果なのかもしれない・・・
などと考えてしまったりするのです。(苦笑)
ある種のインスピレーションが天から降りて、
こういった名作は生み出されると私は思うからです。

最後に
運命を告げる3人と言えば、
シェークスピアの「マクベス」に登場する
3人の魔女も運命の女神でしょう。

ロマン派スイス/イギリスの画家J・ハインリヒ・フュースリの作品

「マクベス」もまた、神々の天啓に左右される作品だったりするのかもしれない・・・
などと勝手に妄想するしだいなのです(苦笑)。
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テーマ:神話 - ジャンル:学問・文化・芸術

2007-12-24 15:55:00

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コメント

数の始まり

凶樹さん、いらっしゃいませ&メリクマ!

本当にそうですねぇ。
数学者なんかは、数字にあらゆる人の感情まで読み取れるなんて方もいるみたいだし(苦笑)。

私は3という数は平和の数だと思っているんです。

1は完全だけど寂しい。
2は支え合えるけど、喧嘩もする。
3は、2の中にたって喧嘩を止めさせたり、支えをさらに強くする。

人という種族は、尻尾を退化させて
3点支持から、2点になった。
でも、背骨が真ん中にあって直立する事でバランスが取れてる。
結局3点で支えてるんですよね。

凶樹さんのコメントを読みながら、
こんな事を考えちゃいました(笑)

ディケンズから「三」とは!!

メリクマ♪

ちょっと嬉しい話題でありますよ。
まぁ空想話ですけれども(笑)

どれくらい昔かわからんですけど。
初めて、地面とかに棒っきれなんかで絵を描いたのは、
一体どんな奴だったのかなぁと。
○書いたり、△書いたりした奴で。

1って、絶対的に「ひとつしかないもの」を表現する場合が、いろんな方面であったような。つまりドえらい存在を表現する「定量」が1というわけで。
すると、2ってのは・・・そうした意味での1と1が、くっついた場合、たいてい2ではなくて、新たな1になる場合が多いよなぁ、なんて。
逆に、2が出現するときは、何かが別れたときかしらん?
まぁ2はややこしくなるので、いつも空想やめます。
もしかして、神話とかの「数え始めの数値」ってのは、3から始まるんだろうか?なんて考えたりしてね。

3の話。
個数の認識って、古来より自らの体(人体)から認識していったのではないかと思うのですよ。手は2、足は2、指は左右合計で10、だから指の数より多いのは「たくさん」って、どこの民族だったかなぁ。
でも、人体で、3を意味しそうなところって、ちょっと難しい。

薬指は三番目を意味する、非常に重要な指だったなぁと、どっかで見た記憶が。

とりとめもなくカキコしてすいませんm(_ _)m

さすが!(笑)

いらっしゃいませ!
そして、メリークリスマス!やわたうまさん(笑)。

この三相一体の思想が地母神系に多いのは確かなようです。

二相では対立か融合しかありませんが、
三相では、循環が起こります。

これは、現代科学でも言えると思います。
物質の変容は、固体-液体-気体。
温度の変化によって全ての物質はこの三相を循環しますよね。

人の一生は生と死と言われますが
生は始点、死は終点、ならば、その間の状態、
我らが歩むその間の時があって、命は循環していく。

そこには、絶えまざる循環の思想があるように思うのです。

今回は書きませんでしたが、
(材料が揃わなかった)
大陸のケルトにはそれが如実に現れているようです。
また、日本の山王、これも、三王とする考えもあるようですし、
中々奥深いようですねぇ。(笑)

三面相

かしりょうさん、こんばんは。

 聖三位一体の源流になった、三面相は面白いテーマですよね。三相一体の思想は既にエジプト王朝の初めの頃には出来ていたみたいですし、おそらくメソポタミアの時代にまで遡るのでしょうね。。。

 ギリシャ神話では御指摘のモイラもそうですし、メドゥーサのゴルゴン三姉妹とか、デメテル、ペルセポネー、そしてデメテルの別名ともされるコレーのラインなどにも三相一体の思想が見て取れます。

 この三相一体はどうも古くは大地母神に関係したものに多いような気がします。春から夏にかけての盛り、秋の収穫、冬の死期。。。そうした視点が源流にありそうな気がしますが、何故三相一体の考えに至ったのかは興味の尽きないところですよね。。。

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神話・古代史に思いを馳せる。
と言うと格好良いですが、実際は、
”空想にはお金がかからない”
という事で。。。
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