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大樹の下で

神話・古史・古伝・民間伝承に関わる、自由な空想を不定期に更新しています。

2018-11

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サンタクロースとなまはげ(2)~不思議な符合

以前サンタクロースに焦点を当ててなまはげに繋がる記事を書いたのは2年前の事。
(記事「サンタクロースとなまはげ~聖ニコラウス以前からの年神」

当時は検索語句「サンタクロース なまはげ」で検索をかけても
その共通性に触れる記事があまりヒットしなかったのだが
随分とその事に触れる記事が増えたようだ。
どうやら、その原因は某TV番組にて放送された
ドイツの民話に残る赤いサンタクロース黒いサンタクロースのようだ。
私が記事を書いた時には赤サンタ黒サンタの事には触れなかった。
記事の流れがサンタクロースの故郷北欧の
サンタクロースの原型を探すものであったためなのだが
すでにWikipediaのサンタクロースの項には紹介がされていたように思う。

サンタクロースとなまはげ」という空想の種が蒔かれて
現在は芽が出始めたと言ったところだろうか。
そこで今回はその芽をさらに育てて枝葉を茂らせてみようと思う。
以前の私の記事では少しだけその共通性をあげた
なまはげに焦点をあててサンタクロースの民話北欧神話
なまはげの伝承に不思議な符合があることを書いてみよう。

まずは、なまはげの紹介を簡単にしよう。

なまはげは秋田県の男鹿市/三種町/潟上市の一部で行われる年末年始の習俗で
国の重要無形民俗文化財「男鹿(おが)のナマハゲ」として指定を受けている。
上記地域の他にもいくつかの場所で同様の習俗が残っているようだ。
Wikipedia「なまはげ」
鬼の面をつけ袈裟蓑(けさみの)をはおり手桶と出刃包丁を持った恐ろしげな存在だが
どこかユーモラスな雰囲気を持った愛されるキャラクターと言っていい。
彼らが大きな声で「泣ぐ子はいねが」「なまげ嫁はいねが」と言い放つ秋田言葉は
地産地消ヒーロー「超神ネイガー (ちょうじんねいがー)」の名前の元になっている。
超神ネイガー公式サイト

そろそろ空想の領域に踏み込もう(笑)
なまはげには大本になった民話がある。
その中でもっとも有名なのが「999段の石段」あるいは「鬼の石段」と呼ばれる話のようだ。

この話は、秋田県男鹿赤神神社に端を発する。
赤神神社・五社堂HP
赤神神社はその由来に「漢の武帝」を祀る祠であるとあり、
この、漢の武帝が赤神なのだそうだ。
Wikipedia「武帝 (漢)」

話を民話に戻そう。
「999段の石段」あるいは「鬼の石段」と呼ばれる話は
実際に現在も訪れる事ができる赤神神社五社堂へと至る長い石段の
起源神話の一種と言っていい。

前述の漢の武帝が男鹿の地に降臨した際、5匹の蝙蝠(こうもり)を従えて来たと言う。
この五匹は五色に通じ「長寿・富・貴・康寧・子孫衆多」の福の気を表すもので
この五匹を使役して漢の武帝は男鹿の地に繁栄をもたらしたのだそうだ。
ところが、この五匹の蝙蝠がよく働いたので休日を与えたところ
鬼と変じて乱暴狼藉を働いた。
娘をよこせという鬼たちに困り果てた男鹿の人々は
ならば、五社堂にいたる道に一晩で千段の石段を設えたならば
お前たちの言うとおりにしようと条件をつけた。
鬼たちは造作もないとばかりに石段を積み上げ
あれよあれよという間に千段を作り上げようとした。
これはいかんと思った人々は鳴きまねの上手いものに頼んで
一番鳥の鳴きまねをしてもらった。
その鳴き声を聞いた鬼たちは
夜が明けたと勘違いして千段にあとひとつの999段を作ったところで
逃げ出してしまったのだそうだ。

さて、私はこの話を知ったときに「おや??」と思った。
なぜならば、非常に筋立ての似通った話を思い出したからだ。
それは、北欧神話の主神オーディンの乗馬となる
8本足の怪馬スレイプニルの誕生神話である。

以前に書いた記事「オーディンの愛馬スレイプニルの正体は?!」
その神話を載せてあるのでご一読いただきたい。

この2つの話の細かなディティールに違いはある。
以下 / 区切りの前者はなまはげ民話、後者は北欧神話

作るもの:石段/城壁
作り手:鬼/山の巨人
要求:娘/太陽と月とフレイヤ(女神)
条件:一晩/一冬
阻止するもの:鳴き真似上手/ロキ(知恵者の神)

しかしながら、ディテールが異なるとはいえ、
話の展開はまったく同じと言っていい。

無論、こういった似た形の話というのは探せば他にもあるだろう。
神話や民俗学などでは、類型神話と呼ばれる類のものだといえる。
類型神話の代表は洪水神話だろうか。
離れた文化圏であっても、このように似たような話があるところには
なんらかの交流があった可能性がある。
だが、日本の秋田と北欧では距離がありすぎる。
また、歴史的な交流の記録も正式にはないと言っていい。

だが、このなまはげの民話だという「999段の石段」には、ある疑問が残る。
なまはげの習俗に関する部分、つまり、
年末年始に各家を回り、子供や嫁を恫喝しながら来る年を祝うという
習俗の本質の部分がまったく欠落している。
この話がなまはげの元になったのだという言い伝えがあるだけで
どうも、そのまま、なまはげの習俗に繋がらない。
もっとも、スレイプニルの誕生神話にいたっては
サンタクロースの習俗に繋がるという言い伝えもないし、
まったく別のお話として存在している。

しかしながら、これだけ似通った話が秋田と北欧/ゲルマン系諸国に存在し、
なまはげとサンタクロースという別の似通った習俗があることは
注目に値するのではなかろうか。

私は、他の気になる点をいくつか別々に辿ってみた。
まず、「999段の石段」の伝わる赤神神社の赤神である。

赤神には十和田湖の女神を竜飛崎の黒神と争ったという民話があるという事を見つけた。
この話、最終的には津軽海峡がなぜできたのか?という起源神話なのだが
それを考えると、この赤神が漢の武帝の祠を祭る以前から信仰のあった
土着のかなり古い信仰対象だった可能性が高い。
東北青森から秋田にかけて、黒>白>赤と神のつく場所が繋がっている。

神社としてあるのは赤神だけだが
竜飛崎の黒神
世界遺産にもなった白神山地
そして、男鹿の赤神

黒神に関しては、前述の赤神との争いの話以外には
あまり言い伝えのようなものがないようで地名や神社のようなものも
残っていないようだ。(実際にはあるのかもしれないが・・・)
白神に関しては、白神山地が信仰の対象であり、山人と呼ばれる人々の
山岳ネットワークの重要な拠点のひとつである。

赤神と黒神の話を紹介し忘れていた。
お話は十和田湖の女神を巡って赤神と黒神が争い、
黒神が勝利するものの敗れた赤神を慕う十和田の女神は
赤神の元へ向かい、黒神は失意のまま竜飛崎に帰り
ついたため息があまりにも大きかったため
北海道と本州を隔てる津軽海峡ができてしまったという話である。

この話に出てくる赤神は黒神と争う際に
鹿を眷属として用いて、竜を駆り雷を操る黒神と争ったそうだ。

実は赤神という文字表現にずっとひっかかっている。
これって、赤髪じゃないのか?
もっとも、神と髪は読みは同じ「かみ」だが
古代の表現上は別の発音をしていたようだが
文字に表記する際に取り違えられる可能性は十分にある。
髪を神にわざと変えたということもありうるだろう。

なぜ、突然こんな話をするのか

赤髪というのが北欧人には珍しくない表現なのだ。
また、赤髪と伝わる北欧の有力な神がいるのである。
その神とは 雷神トールである。

この雷神トールはサンタクロースと関係がありそうなのだ。
なぜなら、彼の持ち物にタングリスニとタングニョーストという名の2頭のヤギがいる。
雷神トールはこの2頭のヤギの牽く戦車に乗るとされているのだが
サンタクロースの原型とされる北欧の冬至祭の妖精はヤギとセットで語られ、
冬至祭のヤギといわれるヤギの面をかぶり袈裟蓑を着て斧を持つ怪物が
サンタクロースの本来の姿だというのだ。
北欧がキリスト教化され、古い神々が地位を追われた際に
主に農民階級に絶大な信仰を寄せられていた農耕神でもある雷神トールが
ヤギの精霊、冬至祭のヤギとして信仰され続けたと考えられないだろうか?

いやいや、ちょっとまて、とうことは
この赤髪の大男雷神トールが赤神なのか?
?まてまて、赤神と黒神の使ったものを比べると
雷神は黒神の方のようだ・・・・。
ところが、雷神といわれるトールだが
雷を操ったわけでは決してない。
用いるのは雷の象徴と言われるミョルニルと呼ばれる
柄の短い槌(ハンマー)なのである。
彼は魔法が使えたわけでもなければ、
ギリシャ神話の主神ゼウスのように
雷光と雷霆(らいてい)を武器としたわけではないのだ。
さらに、ヤギと鹿の違いはあるものの似た動物を使役しているではないか。

また、雷神トールには妻がいる。
名をシヴというのだが
このシヴには連れ子がいたというのだ。
ウル(ウッル)というスキー/狩猟の神が連れ子で
トールの義理の息子となっている。
シヴは子供がいる状態でトールに嫁いだのだから
トールの前に別の夫がいたということになる。
実は、妻のシヴは謎の多い女神であまりその正体がはっきりしない。
また、なぜトールと添うようになったかのかというような話も残っていないようだ。

そこで、こんな空想をしてみた。

赤神=トール 十和田の女神=シヴ 黒神=シヴの前夫

赤神と黒神の話では、女神は勝った黒神ではなく赤神のもとにいくとだけあるが
勝者が女神を獲得するのが普通ではなかろうか。
だとすれば、黒神は女神を強奪することに成功し、しばらくは一緒に暮らしたのだが
結局、女神に愛想をつかされて、黒神との間に出来た息子ともども
赤神の元に去ってしまった・・・・。
ということではなかろうか(笑)。

しかし、これがそうであるならば
北欧では失われてしまったトールとシヴの結婚神話が
はるか大陸を隔てた極東日本に形を変えて残っているということになり
とんでもなく大変な話である(笑)。

また、十和田湖に残る三湖伝説といわれる神話の中に
男鹿の真山の神官で弓の名手といわれるものが出てくる件がある。
男鹿の真山とは、即ち、赤神神社のことである。
シヴの息子ウルは弓のアースという別名を持ち弓の達人なのである。
中々興味深いではないか。
男鹿が日本スキー発祥の地だったらさらに面白かったのだが
残念ながらそのような話はないようである。
もし、古代に似たような移動手段を用いたという記録でもあれば
面白かったのになぁ(苦笑)

さて、赤神に関して赤神>雷神トール>サンタクロースという線が繋がった。

もうすこし、間接的にでも繋がりそうなことは無いだろうかと探していると
「999段の石段」のバリエーションの中に面白いものを見つけた。
石段の完成を阻止するために一番鳥の鳴き真似をする者が
天邪鬼(あまのじゃく)であるとするものがある。
この天邪鬼に相当する北欧の神となると
お!?それって、ロキじゃないか?

北欧神話に登場するロキという神は
最終的にオーディン率いるアース神族に敵対し
神々の黄昏(ラグナロク)を引き起こす北欧神話最大のやっかいものである。
だが、奸智に長け、アース神達に多くの恩恵をもたらした神でもあり
オーディンの参謀であり、トールと最も仲の良かった神なのだ。

なまはげ民話「999段の石段」とスレイプニル誕生神話で
鬼/山の巨人の仕事の完遂を阻んだのが
似たような性格/能力を持つ日本神話・民話の天邪鬼と北欧神話のロキという符合も
中々魅力的だ。

少々長くなりすぎた。そろそろ枝葉には十分だろう(苦笑)

最近の遺伝子解析の情報から面白い事がわかっている。
日本の秋田には昔から秋田美人と称される色白の美人が多いとされるが
実は、DNA分布の中に白人(コーカソイド)の特徴を明らかに持つ人がいるそうだ。
これは、近隣の東北地域では見られないことのようで
秋田にのみ見られるということだ。
ということは、秋田には古い時代に白人が訪れていた事がわかるとともに
その地で家族を持つものも相当数いたということになる。
現在はロシアの漂流民のようなものが訪れた際に
彼らを鬼として言い伝えたという説が有力そうだが
ここは、敢えて異説を唱えよう。
古代の北欧からサケを追って大陸を移動、あるいは、沿岸を移動し
終にはアメリカ大陸にまで渡った人々の中に
白人(コーカソイド)の血を色濃く持つものがおり
その集団の一部が男鹿半島に至り、第二の故郷としたのではなかろうか。
その血はDNAの連鎖の中に生き残り
その習俗はより古代色を残したままなまはげへとつながっている。

最近、音信不通になっていた古い友人と連絡がとれた。
彼の親御さんは秋田出身の国文学博士であった。
息子の彼は同じ方向には進まなかったようだが
中々に博学でもある。
なまはげに関するレアな情報でも持っていれば
続きが書ける日が来るかもしれない。
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テーマ:お祭り! - ジャンル:学問・文化・芸術

2009-12-29 08:18:10

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と言うと格好良いですが、実際は、
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